弁護士 伊東克宏のブログ

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「別居3年で通常は(裁判)離婚」??

某有名芸能人の離婚裁判に関するTV番組でのコメントです。

コメンテーターの弁護士が、性格の不一致を原因とする場合について、「別居3年で通常は離婚」(できる)というフリップを掲げて離婚請求側の有利を説明していました。
もちろん、「別居期間に照らして、婚姻期間も短いので」「裁判官によって考えも違うので3年は絶対ではない」等のコメントもある程度付しておられましたが・・・。

日頃離婚裁判事件を多く抱え、悩んでいる弁護士としては、「ええ?言ってしまっていいの?」とつっこみたくなりましたので、ここで言います。

私は、某芸能人の裁判の詳細は知りませんので、上記コメントも、その有名人の事件のコメントしては正しいのかもしれません。

ただ、TVカメラの裏に、離婚で悩んでいる多くの一般の方がいらっしゃいます。

私としては、「未成年子がいないケースで、諸般の事情から夫婦関係の修復の見込みがないと認められる場合には、最近では、3~5年の別居期間で裁判離婚を認めるケースも、家裁判決のレベルでは増えてきている。」というのが一般的な見解ではないかと思っています。

裁判離婚を認めるか否かについては、本当に、婚姻期間はもちろん、別居に至った理由、離婚後の妻の生活など、「諸般の事情」が様々に考慮されますし、判決を書く裁判官の考えもかなり影響します。

特に、未成年子がいるケースでも「別居3年で通常は離婚」という基準が一般にあてはまるような言い方は、明らかに言い過ぎだと思います。

(もちろん、未成年子がいるケースでも、離婚を請求される側に、不貞や暴力などの、裁判上の離婚原因が裁判上認められる場合には、別居期間にかかわらず、それらを理由に裁判離婚が認められます。・・・もちろん、不貞や暴力も証拠の有無や、程度によります。)

~追加の感想~
プレゼンテーションの仕方として、情報を詰め込めないフリップは、時に恐ろしいと感じました。
某芸能人の事件の話題で、いちいち細かい要素を説明するわけにはいかないでしょうから、テレビ的には難しいところなのでしょうが。

2012年11月9日、カテゴリー:「日々あれこれ」(日記)

弁護士 伊東克宏

弁護士 伊東克宏

相続・離婚を中心とした一般民事事件のほか,会社法務にも対応。弁護士として10年以上のキャリアを有する。

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