弁護士 伊東克宏のブログ

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『改正民法案(相続)の勉強会』をしました!(平成30年6月14日)

ブログへの投稿が遅れたため,勉強会をした後に,すでに改正民法案が法律として成立してしまいました。

「民法の相続分野の規定を約40年ぶりに見直す改正民法など関連法が6日の参院本会議で可決、成立した。残された配偶者が自身が亡くなるまで今の住居に住める配偶者居住権を新設する。遺産分割で配偶者を優遇する規定も設ける。高齢化に対応し、配偶者が住まいや生活資金を確保しやすくする。20年7月までに施行する。」(日本経済新聞より)

いつものメンバーで,平成30年6月14日に,頭書の勉強会を実施しました。

講師は,久しぶりに私が担当させていただきました。

上記報道にもあるとおり,平成32年7月までに施行するということですが,実は,これから相続を迎える関係者にとっては相当に影響が大きいことが,あまり知らされていません。

1つ例をあげるとすると,以下のケースはどうでしょうか。

仮に平成32年7月1日から改正法が施行されるとします。

① 改正法施行前の平成32年6月30日にAさんが死亡。遺言は書いていない。Aさんには,相続人として,子B,子Cがいた。

相続財産は,価値5000万円の自宅のみで,Bが居住。

死亡日から10年間と1日前にAさんは子Cに5000万円の生前贈与をしていた。

② 改正法施行後の平成32年7月1日にAさんが死亡。遺言は書いていない。Aさんには,相続人として子B,子Cがいた。

相続財産は,価値5000万円の預貯金のみで,Bが居住。

死亡日から10年間と1日前にAさんは子Cに5000万円の生前贈与をしていた。

①のケースと②のケースの違いは,Aが改正法施行前に死亡したかそうでないかの違いだけです。

相続人への贈与について,改正前民法は,特に期間の限定なく相続財産の算定基礎に加算することにしていたので,①のケースでは,結論として,子Cはすでに5000万円をもらっているので,子Bが5000万円の自宅を取得して終了ということになります。

他方,改正後の②のケースでは,10年前からの贈与しか加算しないことになりましたので,最終的に,Cは5000万円を取得したまま,さらにBとCとで,価値5000万円の自宅を二分せよという結論になります。

つまり,BはAから2500万円を,CはAから7500万円を取得することになります。

生前Aさんがもし,「Cには5000万円を与えているのだから,自宅はBに取得させよう」と考えていたのであれば,遺言書を書いておかないと,改正民法施行後はそうはならず,Cは大いに得をする結果になります。

Cが改正法に従って権利主張すれば,Bは2500万円を用意できない限り,AがBに残そうとした自宅を追い出される結果となります。

ですから,改正後の民法を前提に,相続対策を考えておかないと,たいへんなことになります。

そのため,「まずは遺言書作成を」ということになります。

付け加えると,自筆証書遺言の作成方法のルールも変わりました。

具体的には,今までは,全文を手書きしなければならなかったのが,改正後は,目録だけはワープロで作っても良いことになりました。(添付のみすればよいわけではないので注意!)

ただこれも,便利になった分だけ,高齢者を騙して真意でない遺言書を作成させるには,悪用がしやすくなったとも言えます。

同様に,法務局で自筆証書遺言を保管する遺言書保管制度も便利ですが,保管が厳重なだけに,騙して作成した遺言書の存在を発見されない手段に使うこともできるように思います。

法律は道具です。

大切な人を守るためにも,賢く準備していく必要があります。

(平成30年7月10日 弁護士 伊東克宏)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2018年7月10日、カテゴリー:「日々あれこれ」(日記), 民商法研究会

弁護士 伊東克宏

弁護士 伊東克宏

相続・離婚を中心とした一般民事事件のほか,会社法務にも対応。弁護士として10年以上のキャリアを有する。

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