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「離婚を勝ち取りました」?~「男と女の法務」より

某有名芸能人夫婦の離婚が話題になりました。

元妻が記者会見を開き,「やりました!離婚を勝ち取りました!」と声高に叫んでいる場面が何度もテレビに流れ,気分が悪くなった方は私だけではないように思います。

ところで,「離婚を勝ち取る」とはどういう意味でしょうか?

次のAだけでなく,Bを含めた意味で言うことがあるかもしれません。

A 相手方が離婚に応じないところ,離婚訴訟において,裁判上の離婚原因を裁判所に認定させて,「離婚する」と言う判決を勝ち取る。

B 相手方が離婚に応じないところ,離婚協議や離婚調停において,相手方と交渉し,協議離婚や調停離婚をする。

ですがBは,所詮相手方と合意の上に成り立ち,交渉の上手下手はあっても,勝った負けたもないように思います。

本来的には,Aの場合のみを言うのではないかと私は思います。

今年私が訴訟代理人を務めた離婚事件で,「離婚調停の申立→離婚訴訟の提起(一審,二審,1度は最高裁)→敗訴して認められず」を2度繰り返し,3次調停・訴訟の二審で初めて私が代理人に就き,そこでたまたま判決離婚が得られ,1次の調停申立から10年以上を経て離婚に至った事件がありました。

さすがにここまでのケースは稀だとは思いますが,不貞など,明確な裁判上の離婚原因が認められない場合,相手方が争う以上,裁判所がなかなか離婚が認めないということもあります。

本来は,こうして離婚に至った場合を「離婚を勝ち取った」と言うのではないでしょうか。

くだんの夫婦の場合,調停で離婚合意をしただけで,どちらも離婚を望んでいたようですから,それを「離婚を勝ち取った」と言うのはおかしいと思います。

なお,弁護士は多くの場合,一方の代理人として子の親権,養育費,慰謝料,財産分与など,「有利な離婚条件を勝ち取る」ことを目指すわけですが,その場合でも,上手に折り合いがついて,双方が納得ができて,WIN-WINの結論が一番良いと考えています。

特に未成年子がいる場合,離婚後も父子,母子の関係性は続きますから,「勝った」「負けた」で相手方に恨まれるような結論は避けたいところです。

こちらが内心「勝った」と思うことができ,かつ,相手方に「負けた」と思われない(「これで良かった」「仕方がない」と思ってもらえる)結論が理想です。

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2017年12月22日、カテゴリー:「男と女の法務」

弁護士 伊東克宏

弁護士 伊東克宏

相続・離婚を中心とした一般民事事件のほか,会社法務にも対応。弁護士として10年以上のキャリアを有する。

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