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忘れていませんか?~公正証書に基づく債権、判決で得た債権の消滅時効

忘れていませんか?
~公正証書に基づく債権、判決で得た債権の消滅時効

以下は、いずれも”ありがちな間違い”です。

  • × 公正証書で契約していれば消滅時効にかからない。
  • × 判決で確定した債権は消滅時効にかからない。
  • × 遺言中に書いておけば消滅時効にかからない。
  • × 親兄弟に対する債権は消滅時効にかからない。
  • × 毎月請求書を出しておけば消滅時効にかからない。

「十年一昔」などと言ったりしますが、年齢を経ると、時間の経つスピードは本当に早いものです。

お手元に、公正証書等で支払を約束させた債権はありませんか?
判決を得たものの、回収ができずにそのままになっている債権はありませんか?

判決で得た債権は、支払期限から10年で消滅時効にかかります(民法174条の2参照のこと)。

公正証書で約束した債権の場合でも、債権の性質は変わらず、債権の性質によって時効期間が決まります。したがって、最長のものでも請求し得るときから10年で消滅時効にかかります。

判決を得たのなら、さっさと回収すれば良いと思いますが、実際には、なかなか回収できないことも少なくありません。

公正証書で約束させたけれど、相手が親族なので「あるとき払い」にしていたら時間が経過してしまった、なんてことも、しばしば目にするところです。

うっかり時効期間が経過してしまい、債務者に「時効を援用します」と宣言されると、法律上請求できなくなってしまいます。

「どうせ回収できなかったのだから」とあきらめがつけば良いですが、そうでないなら、苦労して判決を獲得し、長い間待たされた挙げ句、消滅時効を援用されて、相手方は涼しい顔、なんて結末は、腸が煮えくり返る思いをすることがあります。

消滅時効にさえかけなければ、自分の代では回収できなくても、債権を次の世代に相続してもらって回収してもらうということも考えられます。

消滅時効にかけなければ、将来、相手が相続等で資産を手にして、回収できるようになることだってあるかもしれません。

消滅時効を援用されて債権が消滅してしまえば、そうした可能性が一気に消滅(DELETE)するわけです。

とくに、一般には、公正証書、判決=「確かなもの」というイメージがありますが、消滅時効にかからない、ということではありませんので要注意です。

消滅時効にかけないためには、「時効の中断」と言って、消滅時効を使われてしまう前に、請求(最終的には訴訟等の裁判上の請求)をしたり、差押え手続きをとったり、相手に債務内容を承認させたり、といったこと(民法147条)をする必要があります。

「十年一昔」と言いますが、結構短いものです。

だいぶ以前に判決をもらった、公正証書で相手に約束させたといった債権等があれば、要注意です。

もしそれらの中に、時効にかけたくないものがありましたら、早めに法律相談を受けてください。

(最終更新:平成26年11月14日 弁護士 伊東克宏)

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2014年11月14日、カテゴリー:「日々あれこれ」(日記), 弁護士 伊東克宏ブログ

弁護士 伊東克宏

弁護士 伊東克宏

相続・離婚を中心とした一般民事事件のほか,会社法務にも対応。弁護士として10年以上のキャリアを有する。

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