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離婚協議中,調停中の夫の義務

「勝手に出て行った妻が悪いのですから,生活費を送る必要はありませんよね。」

扶養義務・婚姻費用

設問のように言う方,実際にいらっしゃいます。
子供を連れて別居されても,妻子に対する扶養義務はなくなりません。
離婚協議中とか離婚調停中に,こういう考えで,「兵糧攻め」をしてくる夫もいます。
実力行使としてこういう手段があることは否定しませんが,デメリットも考えておく必要もあります。

まず,このような行為をしたことが,後の離婚裁判などで裁判官の心証を害する,たとえば,「悪意の遺棄」や有責配偶者としての認定に積極に働くといった可能性があります。

次に,払わなかったからといって,扶養請求権がなかったことにはなりませんので,妻子側には,過去に遡って扶養請求をすることも可能です。つまり,最終的に調停が成立する段階,裁判離婚なら判決の時点で,不払いにしていた相当額の金額の支払いを余儀なくされる可能性があります。

過去の扶養請求権がいつから発生したか争われるケースもありますので,請求する側としては,書面で請求書を出して残しておいたほうがよいでしょう。
妻から夫への連絡ですから,記録が残るならメールでも構いません。「生活費おくれ」とメールを送信して残しておけばよいのです。開封記録つきならなお良いとおもいます。

給与等の仮差押え

さらに,扶養請求権を有する妻子側には給与や退職金,役員報酬等に対する「仮差押え」という手段があります。
仮差押命令がでれば,勤務会社に裁判所から通知が行って,給与等の一部が支払われないことになります。払わなければいけないものを払っていないので,裁判所から通知がいくと結構恥ずかしいです。

少額定期債権の執行等

設例とちがい,調停成立や判決後ということになりますが,養育費や婚姻費用の履行確保に関して,民事執行法の改正により「少額定期債権の執行」ということが認められるようになりました。
簡単に説明すると,それまでは期限が経過した部分,たとえば,養育費の支払いが毎月10日であれば,平成18年10月10日まで滞納していた養育費についてしか強制執行ができず,その後の部分は,滞納が貯まった時点で再度強制執行申立を繰り返すと云うことになっていました。しかし,これではせっかく養育費が決まっていても,請求する側にあまりにも不利です。

新しい民事執行法は,確定期限の定めのある定期金債権を請求債権として給与等継続的給付に係る債権を差し押さえることができることになりました。これにより,期限が到来していない給料についても差押えが可能になりましたので,12月10日に支払われるべき養育費に基づいて12月25日の給料を差し押さえることができるようになりましたから,差押申立を繰り返さなくても済むようになりました(民事執行法151条の2)。

それから,一般債権に基づく給与の差押えは4分の1まででしたが,養育費等の定期金債権については2分の1まで差押えができるようになりました。
どういうことかと言いますと,例えば,夫が借金などをしていて他からも給与差押えを受けている場合でも,2分の1と4分の1の差額までは,養育費等の優先枠として残っているということになります。(民事執行法152条3項)

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